仕事に行く支度をしていたら、ふと涙が出てきた。そんな経験はないでしょうか。
前の晩に何か悲しいことがあったわけでもない。寝坊したわけでもない。ただ「今日も仕事か」と思った瞬間に、涙腺が緩んでしまう。
理由を探そうとしても、これといった出来事は見当たりません。強いて言うなら「なんとなく全部しんどい」。この輪郭のはっきりしないしんどさこそが、実はいちばん厄介なサインだったりします。
■ 「気合で押し切れない朝」がある
多くの人は、多少の無理なら気合や根性でどうにかできると思っています。実際、そうやって乗り切れる日もあるでしょう。
けれど、気合だけではどうにもならない朝が訪れることがあります。頭では「行かなければ」とわかっているのに、体がまったく言うことを聞かない。涙だけが勝手に出てくる。
これは性格の弱さやメンタルの問題ではありません。強いストレスが長く続くと、脳や自律神経の働きが乱れ、感情のコントロールが利きにくくなることが知られています。普段なら気にも留めないようなことで急に涙が出たり、イライラが抑えられなくなったりするのは、自分の意思とは関係のないところで、体が「もう限界に近い」という信号を発しているためだと考えられます。
■ サインの出方は人によって違う
ストレスが限界に近づいたときのサインは、人によってさまざまな形で表れます。
朝、理由もなく涙が出る人もいれば、夜なかなか寝つけなくなる人、あるいは眠っている間も職場のことを考え続けてしまい、悪い夢ばかり見るようになる人もいます。
以前、経理職の方が「前の職場のことを思い出すような悪い夢を繰り返し見るようになった」という経験談を紹介した記事があります。そちらでは、日中に処理しきれなかった感情やストレスが、眠っている間に脳内で再生されてしまう仕組みについても触れています(参考:https://www.gaslight-bar.com/limit)。
出方は違っても、根っこにあるものは同じです。それは「もう十分に頑張ってきた」という、体からの通知にほかなりません。
■ 「甘え」ではなく、頑張りすぎた結果
こうした症状が出ると、「たかがこれくらいで」と自分を責めてしまう人が少なくありません。特に真面目で責任感の強い人ほど、その傾向が強いように見受けられます。
しかし、こうしたサインを人に隠さなければならないと感じている時点で、すでに十分すぎるほど無理を重ねてきたと言えるでしょう。甘えでも弱さでもなく、単純に頑張りすぎた結果として体が悲鳴を上げているだけなのです。
■ すぐにできる、小さな対処
こうしたサインに気づいたとき、いきなり大きな決断をする必要はありません。まずは信頼できる人に「実は少ししんどい」と話してみる。あるいは、転職サイトに登録するだけ、求人情報を眺めてみるだけでも構いません。
「ここ以外にも行き場所がある」と実感できるだけで、目の前の重さが変わってくることがあります。逃げ道を確保しておくことは、決して後ろ向きな行動ではありません。
■ サインを見逃さないために
朝の涙、眠れない夜、悪い夢。表れ方はさまざまですが、どれも「もう限界に近い」ことを知らせるサインである点は共通しています。
我慢することが偉いわけではなく、むしろ早くサインに気づいた人から楽になれるものです。心当たりがある方は、一度立ち止まり、自分の体が発している信号にきちんと耳を傾けてみてください。