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漫画『プロゴルファー猿』の歴史~風の中のゴルファーの軌跡

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『プロゴルファー猿』は、藤子不二雄Ⓐ(ふじこ ふじお エー)によるゴルフ漫画の金字塔です。正式なゴルフ教育を受けていない天才少年が、独自のテクニックと情熱でプロの世界に挑む姿を描き、ゴルフブームに火をつけました。
1. 誕生と連載開始(1974年〜)
作品は、小学館の学年誌を主な舞台としてスタートしました。
連載開始 (1974年): 1974年〜1980年頃にかけて、主に『小学三年生』や『小学四年生』などの小学館の学年誌で連載されました。
初期の作風と主人公:
主人公は、山奥で育った少年猿谷猿丸(さるたに さるまる)。彼は正規のコースではなく、山の自然の中で独自にゴルフの技術を磨き上げました。
初期は、彼の規格外のゴルフと、その技術で大人たちを驚かせるギャグ要素や痛快さが強調されていました。
猿丸の代名詞となる**「旗つつみ」や「モズ落とし」**といった必殺技がこの頃から登場し、人気を博しました。
2. 本格的なプロの世界へ(1980年代)
連載は少年誌だけでなく、ゴルフというスポーツの本格的な側面も描くために場所を移します。
青年誌への移行: 1980年代に入ると、連載は『月刊コロコロコミック』や『少年ビッグコミック』(小学館)といった雑誌に場を移し、猿丸がプロテストに挑戦し、プロゴルファーとして世界の強敵と戦うという、より本格的なゴルフドラマへと展開していきました。
ライバルたちの登場: ミスターXや紅蜂、影のプロゴルファーなど、個性豊かで強大なライバルたちが次々と登場し、猿丸は彼らの秘密の必殺技や、精神的な戦いにも挑むことになります。
3. アニメ化と国民的な人気(1985年〜)
アニメ化によって人気は爆発的に高まり、社会現象となりました。
テレビアニメ放送開始 (1985年): 1985年4月から1988年3月まで、テレビ朝日系でテレビアニメが放送されました。
アニメ化により、猿丸の個性的なキャラクターや、奇抜な必殺ショットが広く知られるようになり、当時のゴルフブームを後押しする大きな要因の一つとなりました。
主題歌も大ヒットし、作品の象徴となりました。
劇場版の公開: 1980年代後半には、劇場版アニメも公開されました。
4. その後の展開
本編完結後も、猿丸の物語はファンに愛され続けました。
連載終了: 1988年頃に連載は終了しましたが、その後も藤子不二雄Ⓐ先生によって、猿丸のその後を描いた短編や、関連作品が発表されることがあります。
社会的影響: 当時、ゴルフがまだ一部の大人たちのスポーツというイメージが強かった中で、子どもたちにゴルフの面白さと魅力を伝え、後の世代のプロゴルファーたちにも影響を与えた作品として、日本のスポーツ漫画史において非常に重要な位置を占めています。
まとめ
『プロゴルファー猿』は、山奥育ちの天才少年・猿谷猿丸が、独自の「秘技」と持ち前の負けん気で、ゴルフのプロの世界で活躍する物語です。藤子不二雄Ⓐ先生らしい奇抜なアイデアと、熱いスポ根要素が融合し、アニメ化を通じて国民的な人気を獲得しました。